1.特別減税とは
平成10年度税制改正においては、当初、所得税と住民税について平成10年度分の特別減税が決定されました。さらにこの後に、総合経済対策の一環として、特別減税の追加決定が行われることになりました。
この特別減税は、平成10年度の所得税・住民税に対し、その人の年税額から扶養控除等の人数に応じて、一定の金額を控除するといったものです。
ここでは、追加分も含めた特別減税の概要と源泉徴収義務者や特別徴収義務者などの具体的な手続きを述べていきます。
2.所得税の特別減税について
2-1 特別減税対象となる人
平成10年分の所得税についての特別減税ですので、本年度の所得税の納税者ということになります。
2-2 特別減税額について
当初と追加の特別減税を合わせて、以下の金額の合計額を控除することができます。ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、その所得税額が限度となります。
本 人: |
38,000円(当初18,000円+追加20,000円) |
控除対象配偶者と扶養親族 一人につき: |
19,000円(当初 9,000円+追加10,000円) |
2-3 源泉徴収義務者の手続き
源泉徴収義務者がおこなう特別減税に関する事務手続きは、平成10年2月1日現在「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人のうち、「甲欄」適用者についておこないます。また、追加特別減税に関しては、平成10年8月1日現在の「甲欄」適用者について判断します。これらの適用者のことを「基準日在職者」といいます。
2-4 控除の方法
平成10年2月1日以降、最初に支払う給与や賞与から源泉徴収すべき所得税の額から、月次給与特別減税額を控除します。月次特別減税額のうち源泉徴収すべき所得税の額から控除しきれない部分がある場合には、それ以後に支払う給与や賞与から、控除しきれない部分の金額が無くなるまで順次控除することになります。
追加特別減税に関しても、平成10年8月1日以降、最初の給与や賞与を支払う際に、金額は異なりますが当初の特別減税と同じ手順で控除していきます。
ただし、追加特別減税おこなうにあたって、平成10年7月31日現在において月次給与特別減税額の控除未済額がある人については、この控除未済額に追加特別減税額を加算した金額を平成10年8月1日以降、最初に支払う給与や賞与から順次控除していくことになります。
具体的な事務手続きとしては、控除対象者の氏名や月次給与特別減税額の控除事績などを記入する「各人別控除事績簿」を使用すると便利です。
2-5 納付書の記入方法
納付書の「俸給・給与等」、「損金処分賞与」および「益金処分賞与」の「税額」欄に記入する金額は、各人の「特別減税前の源泉徴収税額から特別減税を控除した後の額となります。なお、特別減税額の控除を行ったことで、納付すべき税額がなくなった場合でも、「税額」欄に「0」と記入の上、その納付書を所轄税務署に提出することになっています。
3.住民税の特別減税について
3-1 特別減税額について
当初と追加の特別減税を合わせて、以下の金額の合計額が控除になります。ただし、その合計額がその人の市民税・都府県民税の所得割額を超える場合には、その所得割額が限度となります。
本 人: |
17,000円(当初8,000円+追加9,000円) |
控除対象配偶者と扶養親族 一人につき: |
8,500円(当初4,000円+追加4,500円) |
3-2 徴収及び納入方法
住民税の特別減税に関する徴収および納入方法は、改正後の特別減税額を控除した後の特別徴収税額を平成10年6月は徴収せず、同年7月から翌年5月までの11ヶ月間で徴収して、納入することになっています。
※ 特別減税に関する事項の「年末調整による超過額」欄および「摘要」欄への記載は、不要となっています。
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